人事労務の「作法」

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059.人事制度の構築(17) 目標管理制度の運用

前回、目標管理制度(MBO)による目標の達成度を成果評価要素とすることを説明しました。また、公正な評価を行う上で、目標設定の注意点についても言及しました。

今回は、目標を設定してから評価に繋げる際の流れについて考えます。

先ず、 目標は少し背伸びしたレベルを設定し、その達成に向けて取り組む事でスキルアップを狙いましょう。この時、評価者である管理職は、各人の能力に応じた適正なレベルの目標設定を後押ししてください。

個人の能力によって設定する目標のレベルは違いますが、評価の際には「難易度」と「達成度」、「貢献度」という視点で補正を行います。例えば、営業部門に属するAさんとBさんにおいて、Aさんは売上目標1億円に対して、Bさんは5千万円というケースもあります。二人とも自身の能力よりも背伸びをした目標であることから、難易度は高・中・低の3段階とすれば共に「高」となります。

達成度については、大幅達成・達成・未達・大幅未達の4段階で、Aさんは1億円の目標を下回る8千万円の売上であれば「未達」、Bさんは目標通りの5千万円の売上であれば「達成」となります。

また、貢献度についてはAさんの8千万円の売上がトップレベルであれば「高」であり、Bさんの5千万円が標準的であれば「中」でしょう。

このように、難易度と達成度、貢献度の高さを係数化し、掛け合わせて点数化します。そして、その点数に応じて成果評価とするのが一般的な目標管理制度の運用方法です。

上の例では、能力が高いAさんが目標達成できなかった理由として、取引先の倒産など本人の努力では避けられない事象により影響が出る場合もあります。対策としては、「外部環境補正」といった項目を設けてAさんに加点したり、一方のBさんは目標を達成できた理由が、先輩社員のサポートが大きかったのなら、逆に減点することもできます。

ただし注意すべきことは、目標管理制度の本来の目的を逸脱し、成果評価のためのツールに終始しないよう、あくまでもドラッカーが提唱した目標管理制度は、企業活動への参画意識の醸成とモチベーションの向上を狙いとする仕組みである事を忘れないで下さい。

 

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