人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

2024-01-01から1年間の記事一覧

056.ジョブ型雇用の未来

先月、ジョブ型雇用で働く人に対する、別の職種への配置転換命令が可能かどうかを争った裁判で、労働者の同意がない状態での一方的な配置転換命令は違法とする最高裁判決が出ました。一審、二審では、職種限定の黙示による合意はあったが、配置転換命令は労…

055.賃上げ機運に乗り遅れないで

連合による直近の集計では、今年の賃上げ率は定昇、ベースアップ込みで5.2%だった模様です。政府が目指す持続的かつ構造的な賃上げ機運が高まっています。 ただし、一旦賃上げを行うと、不況により賃下げの必要があっても簡単には実現できません。労働契約法…

054.人事制度の構築(15) コンピテンシー評価

今回は、人事評価の二つ目の要素である「行動」について考察します。 前回、行動要素については、コンピテンシーという概念で捉えるということを述べました。コンピテンシーとは、一般的には優れた成果を出す人に共通の行動特性という定義がされています。 …

053.退職決断前に考えてもらいたい事

各企業に新入社員が入って2週間が経過します。新入社員もそろそろ新しい環境に慣れてきたところではないでしょうか。 ところが、すでに退職したり、退職を考えている人が一定数存在するようです。しかも、最近では、本人が直接退職を申し出るのではなく、退…

052.人事制度の構築(14) 能力評価の手順

評価制度を構築する上で、何を評価の要素として取り入れるかは、制度の根幹に関わる部分です。 045の記事において、人事評価の要素は「能力」、「行動」、「成果」、「情意」にある事を述べました。今回はこれらの評価要素について考察します。 先ず、一つ目…

051.入社式直後の集合研修は重要です

明日4月1日には、多くの企業で入社式が行われることでしょう。コロナ禍から脱却し、以前のような対面での活気ある入社式を期待しています。 ところで、入社式の後はどのようなスケジュールを組んでいるでしょうか。一般的に入社式は1時間程度ですので、終了…

050.人事制度の構築(13) 人事評価にエラーは付きものです

人事評価は人が人を評価するものであり、評価者の感情や主観がどうしても入り込み、適切な評価が妨げられることがあります。このような評価の誤りを評価者エラーと呼びます。 代表的な評価者エラーは以下の通りです。 ①ハロー効果……際立つ特徴に目を奪われ、…

049.新卒の会社選びは慎重に

2025年春に大学を卒業する学生への企業説明会などの広報活動が、3月1日に解禁されました。 その一方で、すでに採用内定率は30%を超えているとの報道もされています。昨年夏のインターン参加後に、企業と学生が接触して、早い段階で採用内定を出しているので…

048.人事制度の構築(12) 相対評価か絶対評価か

評価ランク決定の方式として、相対評価とすべきか絶対評価とすべきかという選択の問題は常に悩むところでしょう。 相対評価とは、能力や成果について、他者との比較で評価ランクを決定する評価方式です。例えば、上位5%の人がSS、続く20%の人がS、続く50%の…

047.月末前日退職の罠

3月は1年のうちで最も退職者が多い月です。 定年退職日を年度単位で設定している場合、同期入社者は3月に一斉に退職します。また、4月から新たな職場に転職する人も、3月に退職するでしょう。このような人は、通常、3月31日付での退職が一般的です。特に、転…

046.人事制度の構築(11) 評価ランク設定にひと工夫

今回は、評価ランクを設定する上での工夫について説明します。非常に些末な事ですが、ひと工夫する事で人事制度の目的である人材育成にも貢献でき、今後の見解を展開する上で何度も登場する事柄ですので、敢えて今回のテーマとして取り上げました。 評価ラン…

045.人事制度の構築(10) 人事評価の目的は人材育成にあり

今回からは、人事制度を構成する二つ目の要素である評価制度について考察します。 評価制度に基づいて行う人事評価は、社員の処遇決定のツールですが、それだけに特化し過ぎると必ず不満が出てきます。厳しい評価をする事で社員のモチベーションが低下するこ…

044.フリーランスとの契約には気を付けて

フリーランスとして働く人が増えているようです。 フリーランスとは、企業等に所属しないで、個人で仕事を請け負う働き方の事です。ある調査では、1000万人以上がフリーランスとして働いていて、主な業種は、デザイン制作、インストラクター、配達、建設作業…

043.働かないおじさんの真実

働かないおじさんに批判が集まっているようです。 働かないおじさんとは、休憩が多い、新聞やインターネットばかり見ている、居眠りをしているなど、本当に働かない人だけでなく、真面目にコツコツと仕事をするが、新しいことにチャレンジせずに決められたこ…

042.人事制度の構築(9) 職能等級・役割等級の定義

今回は、前回示した複線型人事制度を盛り込んだ職能等級制度と役割等級制度の等級定義の仕方について考えます。 前回示した体系図において、一般社員層には職能等級制度を適用します。先ず、各等級における人材の定義を明確にします。例えば、入社したばかり…

041.人事制度の構築(8) 複線型人事制度の有効活用

複線型人事制度とは、一つの企業のなかに複数のキャリアコースを用意し、各社員の志向や適性に応じてコースを選べる制度の事です。 複線型の構成は各社の事情により千差万別ですが、キャリア志向面での区分としては、業務の中核を担い、責任と全国規模の転勤…

040.皆、パワハラ(らしきもの)に悩んでいます

パワハラ(らしきもの)の相談が増えています。 以前と違うのは、ターゲットとなっている人からではなく、それを見たり聞いたりしている周りの人からの相談が多いことです。 構図を整理します。 先ず、上司は非常に有能で部下の面倒見も良く、色々な事を教わ…

039.人事制度の構築(7) 能力成果主義での等級制度

前回までの解説で、人事制度の枠組みとしては「能力成果主義」が最適であるとの指摘をしました。よって、今回はこの前提に基づく等級制度の在り方について考察します。 能力成果主義の下では、若手から中堅層までは能力の伸長を重視した能力主義を展開するこ…