人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

072.人事労務業務に役立つ資格

8月25日に今年度の社会保険労務士試験が実施されます。この日に向けて勉強を重ねてきた方のご検討をお祈りしています。

人事労務に従事するビジネスパーソンにとって、社会保険労務士試験は一つの目標であると思いますが、実は社会保険労務士以外にも、筆者の経験上業務に役立つ資格があります。今回はそのような資格を二つご紹介します。

一つはFPの資格です。正式にはファイナンシャル・プランニング技能士(以下FP技能士)という国家検定で3級から1級の段階があります。試験内容は、公的年金などの「ライフプランニング」、生命保険などの「リスク管理」、「金融資産運用」、税金に関する「タックスプランニング」、「不動産」、「相続」の分野から出題されます。

人事労務業務に従事する方は経験があると思いますが、定年を迎えて退職する社員に公的年金の請求についてアドバイスする際、併せて生命保険や税金、NISAやiDeCoなどを含めた老後のライフプランニングについて質問されることはないでしょうか。このような時にFP技能士試験で学んだことが非常に役立ちます。

詳しくは試験実施機関である「日本FP協会」または「金融財政事情研究会」のHPをご確認ください。

FP技能検定 | 日本FP協会 (jafp.or.jp)

FP技能検定 | 一般社団法人 金融財政事情研究会 (kinzai.or.jp)

もう一つの資格は簿記検定です。簿記検定はいくつかの機関が実施していますが、最も定評があるのは日本商工会議所が主催する簿記検定(通称「日商簿記」)です。こちらも3級から1級の段階があります。簿記は企業の経営成績と財政状態を明らかにするための帳簿記入のルールですが、その企業だけでなく、社会全体のお金の流れが理解できます。

人事労務業務に従事する方には縁のない知識のようにも思われますが、そうではありません。企業の損益計算上、人件費は費用の内の大きなウエイトを占めるでしょう。その人件費の将来予測をする上では、採用計画や賃金制度が影響します。また、毎月の給与の支払いや社会保険料所得税を給与天引きして納付するには、資金繰りの知識も必要です。企業活動には必ずお金の動きが伴いますので、人事労務業務に限らず、すべてのビジネスパーソンに必要な知識ともいえるでしょう。詳しくは「日本商工会議所」のHPをご確認ください。

簿記 | 商工会議所の検定試験 (kentei.ne.jp)

資格は取得することだけが目的ではなく、活用して初めて意味があります。人事労務業務に限らず、資格取得で得られた知識がご自身の生活や他の人へのアドバイスに役立てば良いですね。

 

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