人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

034.管理職研修の勘所

管理職就任前、或いは就任直後の社員に対して、人事労務に関するマネジメント系の研修を行う事がよくあります。

今までプレイヤーとして第一線で活躍してきた人にとっては、マネージャーへの意識転換を図る非常に重要な研修です。特に営業や開発、技術部門の管理職には縁遠い内容でもありますが、部下のマネジメントを行う上では必ず直面する事項ですので、丁寧に分かりやすく説明するように心掛けています。

柱となるテーマは、労働法の知識と労務管理手法です。

労働法については、先ず労働基準法から、労働時間、休憩、休日、休暇、時間外・休日労働、割増賃金等の法規制を中心に解説します。その他、労働契約法からは、労働契約の基本ルールと無期労働契約への転換ルール、労働者派遣法からは、労働者派遣と請負の違い、労災保険法からは、過労死の労災認定基準と精神障害と労災認定、労働安全衛生法からは、健康診断受診義務と医師による面接指導義務、高年齢者雇用安定法からは、65歳までの雇用義務について簡単に解説します。

いずれも部下のマネジメントを行う上で必要な労働法の知識です。

労務管理手法については、何よりも労働時間管理について力を入れます。原則の労働時間の他、36協定とその特別条項の管理の必要性について解説します。労働時間の管理が不十分だと、割増賃金、長時間労働、過労死、精神障害、医師による面接指導といった労働法の問題につながります。

次にハラスメント、特にパワハラの防止について解説します。パワハラの定義にあるように、管理職には職場内の優位性がありますので、言動がパワハラと受け取られないような対応を身に付ける必要があります。

また、メンタルヘルス対策については、管理職によるラインケアの重要性と具体的な対応方法についてケーススタディも交えながら解説します。

最低限、以上の知識が管理職には必要ですが、その前に管理職の役割と責任について理解させる必要があります。

管理職は労働法上は経営者と一体の使用者の立場で、企業の健全な発展に導く役割が課せられています。それ故に、労働法違反が認められた場合には、刑事罰が適用されることもあることを理解してもらいましょう。

 

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