人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

008.地域限定社員よりも転勤のない働き方を

転勤を命じたところ、家庭の事情により転勤できないという申し出があり、人選をやり直すといった事があります。

金融機関など、全国規模で転勤がある業種では、転勤のない地域限定社員制度を設け、うまく機能している例があります。

しかし、本社一局集中など転勤が稀な業種や職種において、地域限定社員制度の導入は慎重に行うのが良いでしょう。

一般的には、地域限定社員は正社員に比べ処遇が低くなるのが通常です。このため、転勤の命令が出る前に地域限定社員を選ぶのが本来の姿ですが、転勤命令が出て初めて、仕方なく地域限定社員を選ぶ人もいます。これでは、「後出しジャンケン」状態であり、制度の趣旨を歪めます。

それでも地域限定社員制度を設ける場合には、対象者全員に調査を行い、転勤ができないという社員は地域限定社員に切り替え、処遇を引き下げることになります。もしかしたら、定年まで転勤がないかもしれなくても。

これでは、転勤の可能性が低いにも関わらず、地域限定社員に切り替えて処遇を引き下げることの有効性が疑われます。良い策とはいえません。

リモートワークの進展により、場所に捉われない働き方が当たり前な状況となり、転勤という概念がなくなりつつあります。地域限定社員よりも転勤のない働き方を目指したいものです。