人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

009.ジョブ型雇用に切り替えますか?

戦後の高度経済成長を支えたのは、終身雇用、年功賃金、企業別組合を3種の神器とする、日本的雇用慣行にあると言われています。

日本的雇用慣行の元では、新卒一括採用を行い、OJTによってその会社でしか通用しない知識経験を積ませた、いわゆるゼネラリストを養成することを主眼に置いていました。長期雇用を前提として成り立つ仕組みで、メンバーシップ型雇用と呼ばれます。

しかし、90年代のバブル崩壊による経済成長の鈍化以降、社外でも通用する専門性を持たないゼネラリストはリストラのターゲットとされ、欧米の雇用慣行であるジョブ型雇用が注目され始めました。特にコロナ禍において、企業業績が低迷する中、ジョブ型への移行が加速しています。

ただし、コロナ禍においては、在宅勤務の増加によるコミュニケーションの希薄化を問題視し、出社を前提とした働き方に戻す企業も増えています。ジョブ型雇用は一人ひとりの職務を明確にし、成果で評価される仕組みのため、他者とのコミュニケーションが希薄になりがちです。この辺りは企業風土とも関連しますので、ジョブ型に飛びつくのは危険です。従業員のモチベーションにも影響します。

ジョブ型雇用へのシフトは避けられないとしても、根底にある自社の雇用慣行、育成方針、人事制度に沿った制度とする事こそが重要です。