人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

011.時差出勤とフレックスタイム制を混同しないで

コロナ禍において、満員電車を避けるために時差出勤制度を導入する会社が増えたことでしょう。

時差出勤制度とは、満員電車を避ける目的だけでなく、育児や介護、その他個人のライフスタイルに合わせて、あらかじめ定められた出社・退社時刻のパターンを選べる仕組みです。朝、子供を保育園に送り届けてからの遅めの出社や、夕方、早めに退社してスポーツ観戦に出かけることも可能です。

ただし、注意が必要なのは、時差出勤制度では1日の労働時間の決定は労働者にゆだねられていないということです。例えば、1日8時間労働の会社で、朝、保育園への送迎で10時に出社した場合、夕方、スポーツ観戦のために16時に退社することはできないということです。休憩時間が1時間とすると、19時まで勤務する必要があります。16時に退社する場合は、早退の扱いとなり、会社の規程によっては賃金カットや人事評価に影響する場合もあります。

一方でフレックスタイム制の場合、個人のライフスタイルに合わせて出社・退社時刻を選べる点では時差出勤制度に近いですが、大きな違いは、コアタイム以外は何時に出社して何時に退社しても良いということです。ただし、清算期間(一般的には1ヶ月)における総労働時間以上働く必要があります。

コロナが終息しつつある今、多様な働き方を提供するという会社方針が継続しているのであれば、よりライフスタイルに合わせた働き方ができるフレックスタイム制の導入を検討してみてはいかがでしょうか。