人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

010.ベースアップ行いますか?

賃上げを求める声が大きくなっています。

賃上げには昇給とベースアップがありますが、どうやらこの二つを混同している人もいます。

日本的雇用慣行の一つである年功賃金では、勤続により賃金は定期的に上昇するものであり、賃上げのうち昇給については日本企業の文化に根付いています。

一方のベースアップについては、賃金テーブルそのものを底上げするものであり、個別の企業業績によっては慎重にならざるを得ません。

大企業が軒並み賃上げを発表していますが、昇給のウエイトが高いでしょう。大企業の場合、ジョブ型雇用が浸透していることから、或いはこの機会にジョブ型雇用に切り替えることで、ジョブ型雇用と親和性の高い成果主義賃金制度が成り立ちやすい環境にあります。個人の成果により昇給率に差をつけたり、場合によっては降給というケースもあります。成果主義の是非については改めて論じますか、少なくとも年功による昇給は影を潜めつつあります。

ジョブ型雇用では無い場合、賃上げを昇給だけでは賄いきれず、ベースアップを多く併用する必要があるでしょう。ただし、一度ベースアップを行うと元には戻し難いことと、賞与や退職金の算定にも影響する場合がありますので、世間の動きに流される事なく、自社の実情に合った対応をお勧めします。