人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

027.内定式の裏側

10月2日、オフィスビルのロビーで、リクルートスーツの若者を数多く見かけました。内定式に参加した学生でしょう。

10月初旬に内定式が実施されるのは、現行の就活ルールでは、内定解禁が10月1日からとなっているからです。実際には6月頃までにほとんどの採用が決まっていますが、厳密には「内々定」の状態で、内定式に参加して正式な内定通知を受領する流れです。

各企業同じ日に実施するのは、学生が複数の企業の内定式に参加し、一番気に入った企業以外を辞退するようなことがないように、予め同じ日に設定しているのでしょう。まるで株主総会のようです。

また、内定式に参加する事で同期入社の者と初めて顔を合わせ、お互いに連絡先を交換するなどして、入社意欲を高めてもらうねらいもあります。

このような目的を持った内定式ですので、内容には気をつかう必要があります。内定式という名目ですが、社長の挨拶と内定通知の交付、それと事務連絡だけでは物足りないです。入社前研修を実施する企業もあるようですが、内容によっては労働とみなされ、賃金支払いが必要になる場合もあります。入社前に研修を行っても学生のうちは身につきません。研修は入社後にじっくりと時間をかけて行うのが良いと思います。

逆に是非取り入れて欲しい内容としては、年齢が近い先輩社員との懇談です。学生は入社後に自分がどのように成長するのか、どのように成長させてもらえるのかに関心があります。そのような学生の相手は、ベテラン社員ではなく自分の姿と重なる若い社員が適任です。但し、その若手社員が無責任な発言をしては元も子もないので、事前に入れ知恵しておく必要はありそうです。

それから、内定者同士の懇親会も用意してあげましょう。一昔前のような豪華な接待は不要です。社内の会議室で行うのでも構いません。大事なのは、同期同士交流を深め、入社後も強力し合える関係性を築くきっかけを作ることです。

終身雇用が崩壊しジョブ型雇用が普及するなど、何かと社員同士の関係性がドライになりつつありますが、これからの企業を支える若い世代には、ドライな部分だけでなく、人間味のある関係性を築ける環境を与えてあげたいものです。

 

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