人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

004.住宅手当は支給基準を明確に

毎月の給与で、基本給の他に住宅手当を支給する会社があります。

住宅手当は、基本的には残業単価の計算に含めなくて良いのですが、そのためには支給基準を明確にしなければなりません。持ち家の場合幾ら、賃貸の場合幾ら、親元同居の場合幾らという基準では明確とはいえません。

このような基準では、住宅手当の額を残業単価計算に含めて残業手当を支給する必要があります。基本給が同じ人で同じ時間残業しても、住宅の形態によって残業手当の額が違うという不合理な状態となります。

残業単価の計算に含めなくするには、住宅手当の額を家賃の何%とか、住宅ローンの何%といった基準にする必要があります。少し面倒ですが、賃貸契約書や住宅ローンの返済計画書を毎年入手し、それを根拠に住宅手当額を計算すれば間違いありません。

このように残業単価の計算に含めなくて良いものは、住宅手当の他に、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、臨時に支払われる賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金で、昔は「勝つべしリーチ」と語呂合わせで覚えたものです。(住宅手当は後に追加されました。)

ちなみに、賃金は労働の対価であるという考えに基づけば、職務に関連しない生活給的な手当はできるだけ基本給に組み込むという流れが今後加速するでしょう。