人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

013.年次有給休暇取得していますか?

2019年4月より、年間10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日については使用者が時季を指定して付与することが義務化されました。

労働者にとっては気兼ねなく休めるのは喜ばしいことですが、使用者としては代替要員の確保などやり繰りに苦労することもあるでしょう。休暇を取得する人が増えることで、残った人の残業が増えたり、新たに人を採用しなければならなくなったりと、人件費の増加も懸念されます。

そもそも今回の法改正は、有給休暇の取得率が低調な現状を打開するためですが、それには会社所定休日を含めて考えるべきです。

例えば土日と国民の祝日が所定休日の会社であれば、年間休日は約118日程度です。更に会社によっては夏季休暇や年末年始、誕生日休暇などを別途所定休日としていれば、年間休日は125日以上になりますが、このような所定休日日数の多少に関わらず一律に5日取得義務化には少々違和感があります。既に所定休日が一定日数以上あれば、5日の取得義務日数を緩和する施策があっても良い気がします。

かと言って、夏季休暇などの所定休日を減らして、同じ日に時季を指定して計画的付与を行うやり方は、労働条件の不利益変更にも該当しますので、簡単ではありません。

いずれにしろ今回の法改正を前向きに捉え、多様な働き方と同時に、多様な休み方を選択できる社会の実現により、労働者がより良い将来の展望が持てるようにすることで、仕事と生活の調和と生産性の向上を目指すことにしましょう。