人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

015.フレックスタイム制のコアタイムについて考える

フレックスタイム制を導入する際、コアタイムを設けるかどうかは議論になるところです。

コアタイムを設けない所謂「スーパーフレックスタイム制」においては、清算期間内であらかじめ定められた時間働けば、何時に業務を開始し、何時に業務を終了しても良いことから、ワークライフバランスが実現しやすいとか、生産性の向上や優秀な人材確保につながるといったメリットがあると一般的には言われています。

一方で、働く時間が人によってばらばらになる可能性があることから、社員間のコミュニケーションが悪くなるとか、社外とのやり取りに支障が出るとかのデメリットも一般的に指摘されています。

しかし、このような一般的なメリット・デメリットだけでなく、法令遵守の観点からもコアタイムの有無を考える必要があります。

コアタイムを設けないと、午後から深夜まで働くような人も出現しそうです。そこでは午前中の不就労は問題ではなく、昼休みも終わっている時間帯なので、休憩もそこそこに長時間労働が常態化する恐れがあります。そうなると心配なのは、働きすぎによる36協定違反、休憩時間の不足、有給休暇の取得日数不足、といった労働基準法違反です。

これらの法違反を解消するためには、コアタイムを設けることが有効な手段の一つです。ワークライフバランスを考慮すると、コアタイムはなるべく短く、一般的な昼休み時間(12時~13時)を挟んだ、例えば11時~14時としましょう。

コアタイム内に休憩時間を設けているので、休憩時間不足は解消されます。また、半日休暇制度を設けていれば、午後から勤務する人には午前中の半日休暇を適用し、有給休暇の取得日数にカウントします。

耳障りの良いスーパーフレックスタイム制ですが、法違反を起こした場合のダメージを考えると、実利を得るならコアタイムを設けたほうが、使用者としては管理しやすいでしょう。