人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

025.社員旅行が復活しつつありますが

最近、社員旅行が復活しているようです。

社員旅行といえば、1990年代頃までは、どこの会社でも当たり前のように行われていました。当時は今のような○○トラベルと言った旅行サイトも無く、旅行代理店を介して集団で旅行することにより、割安な値段で旅行できることは、福利厚生として意味がありました。

しかしながら、バブルの崩壊と働き方・休み方の変化、更にはコロナ禍の影響により、社員旅行は激減し、社内運動会などと共に死語のようになっていました。

それが、最近復活の兆しが見られる背景には、日ごろの業務へのねぎらいという福利厚生の意味合いの他、希薄になりつつある社内コミュニケーションの活性化を大きな目的にしているのでしょう。特に、コロナ禍におけるコミュニケーションの希薄化が企業業績に与える影響を問題視しての方針転換です。

仮に社員旅行を実施するにしても、過去のように強制しなくてもほぼ全員参加する時代ではありませんので、緩やかな仕組みとするのが良いでしょう。

先ずは参加を強制しないこと。強制参加であれば、本来の勤務日に実施する場合でも賃金控除できません。有給休暇を請求されれば、認めなければなりません。休日に実施する場合は休日労働に該当します。自由参加としても、総務部員など、運営側事務局の役割を担う社員は勤務の扱いとなります。

また、会社規模にもよりますが、全員で公共交通機関で移動の最中、重大事故が発生した場合には、その後の事業継続ができなくなります。あまり遠方へは出かけず、近場で、しかも日程を複数用意するなど、全員一斉というスケジュールは避けた方が良いでしょう。

更には、旅行内容は従前のような観光や宴会を重視したものでは若い社員から敬遠されますので、人気講師を呼んでのセミナーを組み込むなどの工夫も必要でしょう。

このような事を考慮すると、いきなり会社主導の社員旅行を行うのではなく、先ずは気の合う社員同士が企画して実施した場合、旅行費用の一部を会社が補助するところから始めてはいかがでしょうか。

 

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