人事労務の「作法」

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022.採用時には身元保証書の提出を求めましょう

新規採用時、皆さんの会社では身元保証書の提出を求めていますでしょうか。

身元保証人となる人には、採用された人の人物保証の目的と会社に損害を与えたときの賠償責任を負ってもらう目的があります。よって、身元保証書に記載する事項は、保証人となる人の署名の他、就業規則等を遵守し、誠実に職務に専念させることと、故意または過失により会社に損害を与えた場合は連帯して損害を賠償することを最低限盛り込む必要があります。

上記の内容を保証するわけですので、保証人となる人は新卒採用者であれば両親など身近な親族となるのが一般的です。保証人の条件として、保証能力がある「独立生計維持者」に限定しても良いでしょう。

しかしながら、損害額が大きい場合など、独立生計維持者であっても賠償しきれないこともあります。企業としては、損害額を全額賠償させることを目的に身元保証書を提出させているわけではなく、採用した社員が身近な親族に迷惑を掛けられないという心理的な抑止力を持ってもらうために提出させているのです。

それからもう一つの目的として、緊急時の連絡先としての機能も備えています。社員がメンタル不調などで出社できない日が続き、会社から連絡しても一向に応答がない場合など、安否が不安になるときがあります。このようなときに、身元保証人を経由して連絡してもらうと大抵は返事が来ることが多いです。

身元保証書の提出は法令で義務付けられたものではありません。提出には賛否両論ありますが、何か起きたときのためのリスクヘッジと考えて、提出を義務付けるのが良いでしょう。

ただし、あまりにも長期間縛りを設けるのも労使の信頼関係構築上好ましくありません。保証期間は法律上の上限の5年間とし、5年経過時には更新せず保証期間終了で良いのではないでしょうか。

 

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