今回は、評価ランクを設定する上での工夫について説明します。非常に些末な事ですが、ひと工夫する事で人事制度の目的である人材育成にも貢献でき、今後の見解を展開する上で何度も登場する事柄ですので、敢えて今回のテーマとして取り上げました。
評価ランクの段階は企業規模にもよりますが、正規分布となるよう奇数の段階が良く、5段階が適当です。これよりも多くなると上下の段階との違いが曖昧となります。逆に段階が少ないと毎年の評価が固定化されてしまいます。
一般的には下のように設定される事が多いでしょう。(評価ランクの意味は仮置きです)
S 会社が期待する水準を大きく上回る
A 会社が期待する水準を上回る
B 会社が期待する水準通り
C 会社が期待する水準を下回る
D 会社が期待する水準を大きく下回る
このようにBを中心に上下に正規分布するイメージで設定されるのが一般的です。しかし、会社が期待する水準に達しているはずのランクをBと表現することは得策ではないと筆者は考えています。
Bといえば、B級品をイメージし、標準よりも劣るように思われがちです。恐らくBランクに位置付けられる人が一番多いはずですので、大多数の社員のモチベーションを削ぐことは避けたいところです。
信念を持って取り組んできた過程やその成果が間違っていなかったと会社も判断しているというメッセージを伝えるためには、期待水準に達している評価ランクはAと表現するのが良いと考えます。つまり、5段階の評価をSS,S,A,B,Cと設定します。ランクAの社員に対し、上位ランクのSやSSを目指すように動機づけを行うのです。
ランクをアルファベットではなく、学生時代の通知票のように5〜1の数字で表すケースもありますが、これも通知票のイメージが強すぎるため良くないでしょう。
もっとも、大事なのはランクが何であるかということではなく、今後に向けて何をどのように取り組むかを評価者である上司が親身になってサポートする、という人材育成の視点であることを忘れてはいけません。