人事制度とは、広義には企業が経営目標を達成するために人材を管理する仕組みのことで、主に等級制度、評価制度、賃金制度の処遇決定の仕組みを包括した呼びかたです。そしてこれらは相互に関連し合い、一つの方針に基づいて構築されるものです。
人事制度を構築する際には、コンサル会社に協力依頼することもありますが、予めパッケージ化されたシステムを導入するだけのケースもあり、自社の特性に合致せず、窮屈な運用を余儀なくされる場合もあります。
そのような事が無いように、ここは自社の特性に合った人事制度を自社で構築してみてはいかがでしょうか。
人事制度は、先ず第一に経営目標を実現するための人材育成方針に合致するものである必要があります。人事制度は処遇決定の仕組みですが、それ以上に人材育成に貢献するものでなければなりません。経営目標を達成するための「目指す人物像」を明確にし、その人物像に向けて必要な要件を具現化したものが人事制度に結び付きます。
人事制度で目指す人物像が明確になれば、具体的な制度設計に入りますが、最初は現状分析から行います。既に人事制度を運用しているのであれば、現状を分析し、良い点は残しつつ新たに取り入れる要件をまとめます。
これらの作業は、人事部門だけで進めるのではなく、他部門からもメンバーを集めた委員会で行うのが良いでしょう。製造業であれば、開発部門、製造部門、営業部門、管理部門などから管理職クラスのメンバーを集めるのです。このとき、メンバーはたとえ管理職とは言え、自部門の事情を優先しがちですので、全社的な経営感覚を持った人が良いです。また、労働組合があれば、組合からも代表を選出してもらうのも良いでしょう。
ただし、メンバーが集まってゼロから議論を始めても到底まとまりませんので、人事部門には人事制度に関する専門知識と、メンバーの意見を取りまとめるマネジメント力が必要です。人事部門がこれらの見識を持ち合わせていなければ、この部分をコンサルに依頼するという選択はあります。
人事制度を全面的に改定するとなると、最短でも1年から1年半のプロジェクトとなります。じっくりと時間を掛けて、人材育成と経営目標達成に向けた制度を構築しましょう。
次回以降、具体的な人事制度構築の手順について解説します。