人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

028.自転車通勤には気を付けて

コロナ禍において、通勤ラッシュの密を避けるため、自転車通勤が注目されました。また、ちょうど健康志向やCO2削減の風潮とも相まって、一種のブームともなっています。 自転車通勤といえば今までも、最寄駅まで自転車でというケースはよくありましたが、最…

027.内定式の裏側

10月2日、オフィスビルのロビーで、リクルートスーツの若者を数多く見かけました。内定式に参加した学生でしょう。 10月初旬に内定式が実施されるのは、現行の就活ルールでは、内定解禁が10月1日からとなっているからです。実際には6月頃までにほとんどの採…

026.役職定年制の今昔

役職定年制を導入している企業の割合は約30%で、大企業ほどその割合は高くなっています。 役職定年制とは、部長や課長といった役職に就いている社員が、一般的には50歳代半ばの所定の年齢に達した時に、その役職を離れる制度をいいます。役職定年制が普及し…

025.社員旅行が復活しつつありますが

最近、社員旅行が復活しているようです。 社員旅行といえば、1990年代頃までは、どこの会社でも当たり前のように行われていました。当時は今のような○○トラベルと言った旅行サイトも無く、旅行代理店を介して集団で旅行することにより、割安な値段で旅行でき…

024.労働時間の意味を正しく理解しましょう

労使間でトラブルの原因となる事案の一つに、労働時間の問題があります。従業員から未払い残業代を遡って請求されたという話も時々聞かれます。 労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」であり、実際に労働している時間の他、指揮命…

023.褒めて伸ばすか、叱って伸ばすか

子供の教育の話ではありません。企業において若い世代を育成する手法として、一昔前のように「背中を見せる」だけでは通用しない時代です。部下の育成には、管理者が丁寧に指導する必要があります。 そもそも管理者の仕事は、ドラッカーが言うように人間の能…

022.採用時には身元保証書の提出を求めましょう

新規採用時、皆さんの会社では身元保証書の提出を求めていますでしょうか。 身元保証人となる人には、採用された人の人物保証の目的と会社に損害を与えたときの賠償責任を負ってもらう目的があります。よって、身元保証書に記載する事項は、保証人となる人の…

021.定年後の待遇決定の悩み

今年7月20日に、定年後再雇用職員の待遇差を争った最高裁判決(名古屋自動車学校事件)が出ました。 判決では、定年後再雇用職員の基本給および賞与が、定年前の正規職員時の60%を下回り、旧労働契約法第20条違反であるとした一審、二審を破棄し、高裁に差…

020.副業・兼業解禁の第一歩

社会の流れに沿って、副業・兼業を解禁しようとする企業にとって、一番気がかりなのは労働時間の通算問題ではないでしょうか。 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算され、勤務先が2箇所の場合でも、「1日…

019.副業・兼業を認めますか?

2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定し、副業・兼業を推進する方針に転換したように思われます。副業・兼業を禁止した従来のモデル就業規則からも、その条項が削除されています。 日本企業は元々副業・兼業については消極的…

018.裁量労働制は最良の制度なのか

2024年4月より、裁量労働制に関する改正法が施行されます。 裁量労働制には、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制がありますが、適用される人数が多い専門業務型裁量労働制とは、「業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる…

017.「年金は何歳から受給するのが得か」議論の落とし穴

60歳を迎えるころから、世間では年金を何歳から受給するのが得かといった新聞や雑誌の記事に関心が集まるようです。 会社員の場合、60歳定年であっても65歳までの再雇用制度が用意されていることが多く、年金の繰り上げ受給を選択するケースは少なく、議論の…

016.即戦力中途採用の謎

日本の企業でも人材の流動化が進み、転職市場が活況を呈しています。 募集の条件としてどの企業でも即戦力を求めていますが、そもそも即戦力など市場に存在するのでしょうか。 ある企業で営業成績が優秀でも、顧客や販売する商品が違う別の企業で同じような…

015.フレックスタイム制のコアタイムについて考える

フレックスタイム制を導入する際、コアタイムを設けるかどうかは議論になるところです。 コアタイムを設けない所謂「スーパーフレックスタイム制」においては、清算期間内であらかじめ定められた時間働けば、何時に業務を開始し、何時に業務を終了しても良い…

014.社会保険労務士試験の思い出

今年度の社会保険労務士試験まで1ヶ月余りとなりました。 毎年この時期になると、筆者が受験した30年ほど前のことが思い出されます。当時は今ほど受験者が多くなく、試験の難易度もそれほどではなかった気がします。解答方式もマークシートではなく、記述式…

013.年次有給休暇取得していますか?

2019年4月より、年間10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日については使用者が時季を指定して付与することが義務化されました。 労働者にとっては気兼ねなく休めるのは喜ばしいことですが、使用者としては代替要員の確保などやり繰りに苦…

012.通勤災害に該当する?・しない?

会社に届け出ている通勤経路以外の経路で通勤途中に事故にあった場合、労災が適用されるかといった質問をよく受けます。大都市圏では公共交通機関の発達により、複数の鉄道路線を利用できることは珍しくありませんので、質問の意図は理解できます。 通勤災害…

011.時差出勤とフレックスタイム制を混同しないで

コロナ禍において、満員電車を避けるために時差出勤制度を導入する会社が増えたことでしょう。 時差出勤制度とは、満員電車を避ける目的だけでなく、育児や介護、その他個人のライフスタイルに合わせて、あらかじめ定められた出社・退社時刻のパターンを選べ…

010.ベースアップ行いますか?

賃上げを求める声が大きくなっています。 賃上げには昇給とベースアップがありますが、どうやらこの二つを混同している人もいます。 日本的雇用慣行の一つである年功賃金では、勤続により賃金は定期的に上昇するものであり、賃上げのうち昇給については日本…

009.ジョブ型雇用に切り替えますか?

戦後の高度経済成長を支えたのは、終身雇用、年功賃金、企業別組合を3種の神器とする、日本的雇用慣行にあると言われています。 日本的雇用慣行の元では、新卒一括採用を行い、OJTによってその会社でしか通用しない知識経験を積ませた、いわゆるゼネラリスト…

008.地域限定社員よりも転勤のない働き方を

転勤を命じたところ、家庭の事情により転勤できないという申し出があり、人選をやり直すといった事があります。 金融機関など、全国規模で転勤がある業種では、転勤のない地域限定社員制度を設け、うまく機能している例があります。 しかし、本社一局集中な…

007.管理職に就任するのもいいものです

最近の若手社員の中には、管理職に就任するよりも、生涯現役として、今まで培ってきた営業や開発などの第一線で活躍したいと考える人が一定割合いるようです。 確かに課長などの中間管理職は、営業や開発の第一線からは一歩後退し、チームメンバーのマネジメ…

006.親孝行なのはわかりますが、

ある年の新入社員から給与の振込口座の届け出があった際に、その社員の名前とは違う口座名義が記載された届け出がありました。 確認すると、親に仕送りしたいので、給与の一部を親の口座に振り込んで欲しいというものでした。 なるほど、親孝行で感心するの…

005.通勤しないのに通勤手当を支給する?

在宅勤務の急速な普及により、「通勤しない日」が増えています。 通勤手当を支給する会社は多く、公共交通機関を利用する場合は通勤定期券による運賃相当額を支給するのが一般的です。 しかしながら、在宅勤務の増加により、通勤しない日の通勤手当を支給し…

004.住宅手当は支給基準を明確に

毎月の給与で、基本給の他に住宅手当を支給する会社があります。 住宅手当は、基本的には残業単価の計算に含めなくて良いのですが、そのためには支給基準を明確にしなければなりません。持ち家の場合幾ら、賃貸の場合幾ら、親元同居の場合幾らという基準では…

003.採用面接時の逆質問、必要ですか?

採用面接の最後に、面接官から学生に「逆に何か質問はありますか」と聞くことがあります。 面接官はすでに面接の中で合否判断の材料は入手していて、学生からの逆質問の有無や内容をその材料に加えるわけではなく、単純に「わからないことがあればお答えしま…

002.採用すべきか否か

最近、採用試験において適性検査を実施するケースが増えています。 学校の成績は優秀で面接での受け答えも申し分ないのに、適性検査の結果だけ今一つという人もいます。特に、コミュニケーション能力が低く、組織に適応し難いなどといった結果が出ている場合…

001.採用内定は出したけれども

2023年4月時点の大学生の就職内定率は48%程度と発表されています。 企業側としては採用内定を出した学生が本当に入社してくれるのだろうか、という不安があることでしょう。仮に入社承諾書を受領していても、それ自体には法的拘束力はなく、より良い条件の…

000.ブログ開設にあたって

企業の成長発展には、そこで働く人々との関係性を最適化することが重要です。 筆者は、民間企業で延べ30年にわたり人事労務関連業務に取り組んできた経験から、関係性を最適化するための考え方、取り組み事例を「作法」と位置づけ、自分自身の知識のアーカイ…